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当科での研修を希望される方へ

回診

はじめに

当科で扱う腎機能障害(急性腎障害、慢性腎臓病)は国民病であり、診療科を問わず遭遇する機会が高く、その基本的な知識の習得は極めて重要です。急激に腎機能が悪化する急速進行性糸球体腎炎を呈する患者さんがANCA関連血管炎やループス腎炎など膠原病疾患であったことも多く経験されるため、免疫抑制剤の管理を学ぶ必要があります。また、電解質平衡異常や血圧・体液量の評価及び管理はあらゆる内科・外科系疾患の診療で必須の知識です。

血液透析や腹膜透析など透析療法を受けている患者さんは30万人を超えており、その併存疾患を含めた包括的な管理が重要です。腎臓病は糖尿病や高血圧等の全身性疾患の最終結果として発症することが多く、循環器や感染症など幅広い知識を身に付け、全身管理が求められます。

このように多種多様な疾患が経験でき、腎移植やバスキュラーアクセスは腎移植センターと共に、腎炎については内科だけでなく顯微解剖学講座の病理医等の、多くの科の医師が診療科の壁を越えて協力して総合的な管理・治療を行っています。腎臓病の急性期、慢性期、末期腎不全まですべて完結して学ぶことが当科では出来ます。

当科の研修の特徴

①腎臓内科学の臨床全般を学べる

腎炎・ネフローゼ症候群、電解質、急性腎障害、末期腎不全を含めた慢性腎臓病、血液透析や腹膜透析を始めとする血液浄化療法、そして腎移植までの幅広い診療能力を身に付けることができます。また、腎生検、血液透析療法(透析カテーテル留置・シャント作製やバスキュラーアクセスインターベンション治療(Vascular Access Interventional Therapy:VAIVT)、腹膜透析療法(腹膜透析カテーテル挿入・抜去術、出口部作製・変更術等)、急性・特殊血液浄化療法等の手技を学ぶ機会も多数あります。

また、病棟班で他科コンサルト症例を担当できますので、急性腎障害、体液電解質異常等のフレッシュな症例を一人で悩むことなく経験を積むことが出来ます。

②豊富な教育の機会がある

抄読会で論文の批判的吟味を勉強し、リサーチカンファレンスで大学院生や上級医の研究内容を共有することが出来ます。腎生検カンファレンスでは医学部解剖学講座顯微解剖学部門の先生方から指導を受ける機会が多数あります。また、腎移植患者の入院・外来管理やバスキュラーアクセス手術は腎移植センター外科医師と共同で診療を行います。

③プライマリ・ケアの研鑚ができる

当院は救急診療を積極的に行っており若手医師は救急外来で研修する機会があります。また、救急を受診したcommon diseaseの患者さんがそのまま腎臓内科にて継続加療を行うケースが多いため内科医として総合的な視点で診療をする力がつきます。透析患者さんにとっては腎臓医がプライマリ・ケア医を兼ねていることと、患者さんの多くが高齢者であることからプライマリ・ケア的視点を持つことは必須と考えます。

初期臨床研修医を希望される方へ

当科は10年程度のキャリアを積んだ熟練した医師をリーダーとする3-5名の医師からなる班体制で診療にあたります。高度な判断が必要な時はいつでも上級医に相談できます。プレゼンテーション、理学診断、内科的治療、基本的検査診断手技を中心に直接指導があります。病棟グループ毎にカンファレンスを行い、症例の経過報告や治療方針の確認をします。

当科の研修の目標について下記に記載します。

一般目標(GIO)
腎障害時の病態生理を十分に理解した上で代表的な腎疾患の病態を把握し、実際の診療に携わることにより、腎臓病全般の対応に必要な知識と技術を習得する。
具体的目標(SBOs)
腎障害時の病態生理について理解を深める。
代表的腎疾患の診断から治療という一連の流れを経験する。
腎疾患治療に必要な基本的手技を学習し習得する。
病歴や身体所見を基に、診断へアプローチするための知識や技術を身に着ける。
透析・移植医療を学習・体験する。
チームの一員として能動的に診療に参加する。
患者あるいは家族の考えや立場を理解し、社会人として自覚をもって対応する。
方略
外来での研修(一般外来、腹膜透析外来などの専門外来)を通じて一般的な腎疾患の初期対応を学ぶ。
入院診療(病歴聴取・診察・検査治療計画・診療録記載)を通じて腎臓病診療に必要な知識と技術を経験する。
血液浄化センターでの診療・回診を通じて、透析患者の病態や併存疾患・合併症の診療法を学習する。
病棟診療班に配属され患者の診察や検査・治療計画を立案する。
評価
外来診療・救急診療はオンザジョブトレーニングでありその場で指導医の評価とフィードバックが行われる。
入院診療は日常の診療録記載の添削によりフィードバックを受ける。入院病歴要約は上級医、病棟診療班長の添削を受け、不適切な記載は修正を求められる。
週一回の教授回診時に受け持ち患者のプレゼンテーションを行い、その場で上級医の評価とフィードバックが行われる。
当院の初期臨床研修は昭和大学臨床研修センターが担当しています。募集要項、募集開始日などの詳細は是非そちらを確認してみてください。

内科専攻医を希望される方へ

当科は内科の総合的診療能力を持った腎臓内科医の育成を目標とし、腎臓内科のあらゆる分野について実践的診療能力とその学問的基礎を習得するトレーニングを関連教育施設と協力しながら実施しております。

腎臓内科の知識のみでなく、プライマリ・ケア、老年医学の基礎、良好な人間関係を構築できる能力、職業人としての態度、患者・医療スタッフとのコミュニケーション能力、生涯学習能力等医師としての重要な資質を身につけることができます。

当院の内科専門研修を希望される方には内科専門研修とサブスペシャリティ専門研修を個々の方針に即して行えるようにサポートしております。

プログラムは大学病院を中心に行っていますが、牧田総合病院(東京都大田区)、関東労災病院(神奈川県川崎市)、横浜市立市民病院(神奈川県横浜市)などの関連教育施設での研修を行って頂きます。これらの教育施設での研修は、大学病院では学べないが非常に重要な診療スタイル(症例数を多くこなす、主治医として責任を持つ、一般内科も診る)の経験を持つ上で重要と考えています。

内科専攻医制度に際して、昭和大学医師臨床研修センターにて募集要項、募集開始日など詳細は確認してみてください。

入局後の1週間のスケジュール

ある若手医師の1週間。カンファレンスや外来や手術等でたくさんのことを学ぶ機会があります。当直は内科合同当直と腎臓内科オンコール合わせて月3回程度割り当てられます。

午前午後
入院担当
患者さんの診察
腎臓内科外来
教授回診
病理カンファレンス
シャント手術/VAIVT
腎生検腹部超音波検査
入院担当
患者さんの診察
血液透析当番
他院での診療支援他院での診療支援
入院担当
患者さんの診察